マウス休眠過程での血中グルコース濃度変化
Posted by | Yoshifumi Yamaguchi, 北海道大学低温科学研究所 冬眠代謝グループ(山口研) |
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投稿日 / Date | 2021/07/07 |
グルコーステレメトリーを用いて、カロリー制限によるマウス休眠の際に、血中グルコース濃度(血糖値)、体温変化、活動量を同時計測した論文。マウス休眠を精力的に研究されてきたSteven J. Swoapさんらによるお仕事。休眠のトリガーが何かは長年の謎でまだ確定されておらず、グルコース濃度の変化がどこまで関与するかも議論の的です。本論文の同時計測でわかったこととして、少なくとも高血糖値は休眠導入にpermissiveではない、ということです。また血糖値の低下が体温低下に先立って生じる(ただしその低下幅はわずか?)こと、また復温の際にも急激な血糖値の増加が生じることも観察されています。面白いのは、活動量も体温低下前に増加が見られること。これらの結果から、交感神経系と肝臓でのグリコーゲン分解等と休眠導入との関係を議論しています。